2007年6月の日記

 

大学病院の一日

 
梅雨空の中、『助産師と産む−病院でも、助産院でも、自宅でも』の最後の校正をかばんにつっこみつつ、「AERA with Baby」のための大学病院の取材で一日過ごしました。

私はやはり助産院な自然出産の病院に出入りすることが多いので、大学病院の一日は現実の厳しさを感じるものでした。大学病院と助産院では、産みに来る女性たちの陣痛に対する不安がだいぶ違います。病院でも不安を乗り越えるための夫立ち会いやクラスはおこなわれていて、それを役立てうまく陣痛の波に乗っているカップルもいらしたのですが、やはり全員ではない。

この病院では、私がいつも麻酔のことを教えて頂いている周産期麻酔の専門である麻酔科医の照井克夫先生がいらっしゃるので、硬膜外麻酔もさかんにおこなわれています。麻酔の効きはすごいものがありました。そのかわり陣痛が弱くなりがちで、赤ちゃんを器具で引き出す鉗子分娩になる人が多いのですが、それでも、かなり陣痛恐怖の強い方が選択しているのでそれは納得していらっしゃるようでした。

照井先生は、日本の温かい医師ベスト10に絶対に入るか?と思ってしまう優しい先生で、この方の存在自体が麻酔のような、まるで「人間麻酔」のような方です。麻酔をした人はいきみが難しいのですが、照井先生が分娩室に現れバッ!と産婦さんに寄り「よくがんばりましたね」と手をしっかり握る姿には感動しました。無痛分娩は全く痛くないわけではないし、もともと出産不安の強い方がしているので麻酔が効いたあともお顔は不安な感じなのです。

こわい、こわい、と思いながら産むのも現代ではしかたがないかもしれません。お産の時だけ身体的になれ、という主張は、やはり一部の人にしか届かないものだと思っています。通常の会陰切開より大きい鉗子分娩の裂傷を引き受けるのなら硬膜外麻酔という選択もあるかもしれません。産後は分娩台で二時間赤ちゃんを抱いているのですが、その嬉しそうな安らかな表情は自然も無痛もないように思われました。

そして「自然に産む」ということがいかに難しいか、痛感。
<>2007/06/15

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