2009年3月の日記

 

お産のとなりで起きていること

 
新生児集中治療室(NICU)の取材を始めていて、今週は毎日のように行っていました。産科の取材だけしていていたらわからないな、ということがたくさんある世界です。

早産で赤ちゃんが生まれるということがどれだけ大変なことか–救急車にとってNICUはゴールですが、ご本人たちにはここからがスタートなのだと感じます。生育限界が何週であっても、やはり、お母さんの子宮にいるはずの赤ちゃんを、機械がそのかわりをして育てていくのは綱渡りをしていくようなものです。そして、無事に予定日を迎え、退院していっても、9歳になるまで定期的な健診を続けていくというのですから、本当に長い時間をかけ、ゆっくり、ゆっくりと子どもの成長を待つことになります。

お産という世界から見ていると、ほとんどのお産は元気な赤ちゃんが生まれていますが、ここにはそうしたお産はひとつもありません。

ある病院では、助産師外来を担当する助産師さんが満たさなければならない基準の中に新生児集中治療室での研修を受けていることがふくまれていました。私は、今、その研修を経験していようなものかもしれません。

親子を出発させるための医療はリレーです。不妊治療から産科へ、産科から新生児科へ、そして新生児医療からは小児科へあるいは福祉へとバトンが渡されていきます。ひとりとひりの走者が、自分だけよく走れても意味がないし、自分にバトンが渡ってきたときにどんな試合展開になっていようが自分の役割を精一杯果たすのがチームです。

ただ、本当の走者は赤ちゃんであり、お母さんであり、パパですし、リレーの中身は医学的なことだけではとても決められないし、赤ちゃんが生きた時間の長短でもないように思います。<>2009/03/20


 

ほっと安心の3月です

 
土曜日の今日、表参道へ多摩美の卒業制作展を見に行きました。つい昨日、大学から卒業決定の通知を受け取り、娘とふたりで見たところ。展覧会を見に行くと、本当に卒業するらしき様子なのでなんだかうそみたいです。いやあ、長かった、本当に長かった(学費を払うのが、です。・・・私には)。

娘の卒業制作は「万歳!何でもない日」というタイトル。実在する85人に取材し、その24時間の行動を時間ごとに1枚の絵に納めていき新聞印刷仕立てにしたもの。私たち家族や親族一同ももちろんかり出されて登場して、娘のお友達たちと共に24時間ごそごそ何かやっているところが描かれています。

思いっきり標準的でない人もけっこう入っているのですが、それぞれにとっては平凡な一日の大集合。親としては、娘がいろいろな人を愛し、共に生きていけそうな人に成長してくれたような気がしました。

ゼミで娘をみていただいた宮崎光弘先生と「盲導犬クイールの生涯」が大ヒットした石黒謙吾氏の対談があったので聞いてきました。「分けると分かる」というテーマで、「分類王」と呼ばれる石黒さんがご自分の発想ツールを語っていただきました。終わってから、お二人とも娘が大変お世話になって来た方なのでご挨拶すると、おふたりはまさしく私と同じジェネレーションのよう。石黒さんは私がカメラマンをしていた時代の『宝島』の愛読者だったということで、私の名前を記憶にとどめておられ、びっくりしました。

帰りに何となく、私にとっては故郷的な町である下北沢に寄り、夫と沖縄料理屋さんで泡盛を飲んだりしました。海の青を表していたのか、それはきれいな青いグラスに入っていた泡盛。その色に見とれながら、ふと口をついて出たのはこんな言葉でした。「なんか、もう心配しなくてもいいみたいね」

彼女はもう、たくさんの仲間や導いてくれる先輩にも囲まれているようなので安心です。私にとって、子どもを3人育てたことは人生最大の仕事でしたが、こうしてだんだんに1人ずつ巣立っていくとなると、自分の仕事をきっちりとまとめあげていきたいと切に思えてきます。

最近した仕事で大きかったことは、産科医療保障制度について、その導入にあたり中心的存在だった岡井崇教授のインタビューをAll Aboutに掲載したことで、沢山の方かられしい反響をいただきました。また今週から、新しい本にとりかかりました。取材の申し込みを始めて来週から取材開始です。<>2009/03/07


 

子どもたちの市長選挙

 
今日は一番下の子の小学校の授業で市長選挙がありました。グループごとに候補者を立てて立ち会い演説会をおこない、他の学年と父兄が投票しました。この日のために、子どもたちは周囲の大人に、市政に何を望むか聞いて回りました。

絶対に来て、と言われて行ってみると、なんと市立病院のことや産婦人科、小児科の問題はかなり関心が高かったようです。「近くに大きな病院が少ない」「産むところがない」「夜間の救急が不安」など。公約にも「産婦人科を建設する」「医師を増やす」といったものが多々ありました。一番多かったのは「緑を増やす」だったかもしれませんが、その次くらいにたくさんの子どもたちが医療問題で選挙を闘いました。

いつも取り組んでいることが小学生にまで身近な問題とは。子どもたちが周りに聞いたアンケートでも医療は最大の関心事ということで、改めてこれは大きな課題なのだと感じた小学校最後の参観授業でした。<>2009/03/03

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