2013年3月の日記

 

『卵子老化の真実』にレビューを戴いて

 
『卵子老化の真実』が発売になってから十日間。読み終わった方から数々のうれしいご感想をいただいています。

一番最初にいただいたのはAmazon.comのブックレビュー。Amazon.comトップレビュアーのおひとりが書かれたもので、このレビューは本当にお見事で、びっくりしました!夫に「この人の文章はすごい。かわりにこの人に書いてもらえばよかったな」と冗談を言われましたが私も同感だったりして・・・。

そしてすぐにふたつ目のレビューもいただいたのですが、これも、また「まさに、このように読んで欲しい」と願っていたとらえ方をなさっいたので万歳をしたくなるほどうれしかったです。

「伝わった」という手応えがガツンと感じられる瞬間は執筆の疲れがほどけていくような,何もかもが溶けていくような最高の瞬間なのです。

その後もたくさんのご感想をメールやフェイスブックなどでいただいています。その中にはもちろん今後の課題を示してくださっているものもありますが、どのご感想も伝えたかったところを読み取って下さっていて、不思議です。特に、情報や知識ではない、書いてないところが伝わるのが不思議。特に見ず知らずの、どなたか分からない方にビビビッと伝わるというのは、もうわけがわからないほど不思議!人間ってすごい!ちょっと「不思議がり」がすぎるでしょうか。

Twitterでは、また違う皆さんの反応がわかります。「本屋さんで『卵子老化の真実』という本を見たので手にとってみたら目次でこわくなってそっと戻した」とツイートしている方もいました。

その方には、思わず「こわくないですよ。勇気が湧くと言ってもらっています」と突っ込んでしまいました。著者がいきなり何か言ってきたのでびっくり仰天させてしまったと思いますが、Twitterは何でもできてしまうんですね。この方は「今度は勇気を出します!」とお返事をくれましたが、その後どうしているのかな。

Twitter、facebook ブログなどソーシャルメディアが発達してから本を出すのは初めてなので、それも大変興味津々な、新しい体験です。

こんなにダイレクトに読者の方とつながることができるなんて、とても楽しいです。<>2013/03/29


 

『卵子老化の真実』目次

 
3月19日に発売になる新刊『卵子老化の真実』(文春新書)の目次立てを、編集担当者の方がまとめてくれました。先週から、こんな感じの書類をお会いした方にお渡しして本のご紹介をお願いしています。出産年齢の上昇にともなう妊娠前〜育児までの問題をほぼ網羅し尽くした内容となっていますので、さまざまな立場の方に読んでいただけたらと思います。

『卵子老化の真実』

はじめに  外見は若くなっても卵子の老化は止まらない 
 
第一章 何歳まで産めるのか  

体外受精でも卵子の老化は救えない
日本の体外受精実施数は世界一、しかし妊娠率は50カ国中45位
生涯新しく作られない卵子、毎日一億個作られる精子
最終選考に残れない卵子
35歳の妊娠力は20代の半分
信じられない数の高齢出産をしていた明治女性

49歳の自然妊娠 /白樺八駙さん(27歳、29歳、47歳で出産)
乳がん克服、そして妊娠 /渡部麻由さん(36歳、47歳で出産) 

第二章 妊娠を待つ   

実際に35歳以上で出産した人の妊娠方法は?
不妊治療の落とし穴
知らない間に卵子がなくなりかけている!
高齢出産こそ究極のアンチエイジング?

36歳で「46歳のホルモン値」と言われて / 匿名(36歳妊娠中) 
500万円かかった不妊治療 / 門脇昌子さん(39歳、44歳で出産)
転勤で妊娠が遅れて / 匿名(39歳、43歳で出産) 

第三章 高齢出産        

流産や染色体異常は年齢と共に上昇
「出生前診断」みんなはどうしている?どう思っている?
高齢出産にふさわしい産院選び

ダウン症の女の子を授かって / 匿名(42歳で出産) 

第四章 高齢母の育児   

実家の老親に頼れない
平均値から外れた親は孤立しやすい
元キャリア女性が陥りがちなパターンとは
高齢出産の子どもは発達が良好でけがや入院が少ない

きょうだいが欲しい / 匿名(41歳で出産) 
仕事だけでは満たされない世代 / 匿名(38歳、41歳で出産) 

あとがき   
参考文献  
  <>2013/03/10


 

本を書き終わったあとは

 
「自分を研究して自分がいちばん大切に思っていること、辛いと思っていること、嬉しいと思っていることを書く」

この言葉は、最近また見始めたツイッターで出会った井上ひさしさんの言葉(井上ひさしさんが天国からツイートしているのではないですよ〜「bot」と言って、著名人の言葉を少しずつ配信する仕組みがあるのです)。これが、今の私にはとても響いています。

これこそ物を書く人間がいい物を書くためのとても大切なコツだなあ・・・と思いました。そして、ひとつの不思議さが、心に浮かび上がってきました。それは、今回私が書いた本は晩産の本だったということです。それなのに、なぜ、26歳で母親になった自分が、このテーマを「自分がいちばん大切に思っていること、辛いと思っていること、嬉しいと思っていること」と感じて書いていたのだろうか。それが、とても不思議なのですが、今の自分には、産みたくても産めない人がたくさんいるという事実は確かに自分の大切な,つらいと思っていることに違いないのでした。

本を何冊か書いてきて、自分の本が書き上がる時のプロセスがわかってきています。分娩も何人か出産した人は自分の陣痛のパターンがわかってきますが、それとまったく同じことです。

私は書き始めは気負いがあって、あれも、これも書きたくて、やがてその山に埋もれる時期がきます・・・このあたりがとてもきつい。しかし、それでは、編集者さんが会社で困るだろうと考え(正しくは、自分のためにそう考え)、我慢し続け、最悪なものを書き綴り続けていると、ある日、ふと雪解けのように楽になる日が来るのです。

そこが、素材と、自分の中にもともとあった「自分がいちばん大切に思っていること、辛いと思っていること、嬉しいと思っていること」の融解点なのでしょう。それは、ただの化学反応なので何がどのように融解したのかも肉眼では見えないけれど、そのあとは、もう大丈夫になります。あぁ、この本は書ける、と思えて、推敲の段階が深まるほどにいくらでものめり込み、「あら、もう?」という感じで期限がやってきておしまいになります。

取材させていただい方たちの人生がしっかりと自分事になったとき、本当に書くということができるようになります。そこからは、私のような取材をして話を書くことが中心のジャンルでも、どこか小説と同じように、寝ても覚めても登場人物たちと暮らし、喜びや悲しみを共に感じながら書くことになります。

私は文筆業でありながら、普段は、特にたくさん文章を書くわけではありません。こうして日記もろくに書かないですし、どこからどう見ても筆まめとは言えません。

それでも、本を書き終わる時は、普段とはまったく違っています。そして、そんな時は他の人が書いた文章が、また面白くてしかたがないのです。深みのある文章が持つ、剥いても、剥いても、まだ現れる新たな織り模様を大量に感じたい。そこにある人の心の喜びや悲しさや寂しさを、とてもいとしいと思えるのです。

・・・と、まあこんな調子で、本が手から離れ、見本刷りができるまでの時間を過ごしているのでした。タイトルは『卵子老化の真実』となりました。<>2013/03/01

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