
『助産師と産む−病院でも、助産院でも、自宅でも』
岩波ブックレットNo.704
河合蘭著 岩波書店 2007年 ¥480+税
私がお産ライターとなるきっかけは大ベテランのお産婆さんに出会い、「今晩の自宅出産に来るかい?」と言われ、立ち会わせて頂いた衝撃でした。あれから20年目の節目に、奇しくもこのような本を出すことになりました。
明治維新の頃から「産婆」として助産師が成し遂げてきた偉業を振り返り、また現代の産科医不足の中で助産師外来、僻地医療などで活躍する助産師を追って、この国にとって助産師とはどんな存在であるかを考えました。
敗戦によるアメリカニゼーションの中で職能的には激震を体験したにもかかわらず(当時の米国には助産師がいなくて産科医と看護師による痲酔出産が主流でした)、助産師は子どもを産む人のために国が用意すべき基本の人的資源です。婦人科の手術や帝王切開に追われる産婦人科医だけではお産は支えられません。
本質的に納得できるお産を探している女性とご家族の方には、助産師による自然出産という選択についてたくさんの情報を提供する一冊でもあります。助産師外来を開く「勇気のモト」として助産師さん自身にも読んで頂いていますし、助産師とコラボレーションを組む医療者、行政関係者、報道関係者にもご愛読いただいています。
ワンコインブック(定価504円です)ですので、学校や講習会のテキストにもどうぞ。
Amazon.com から買えます
未妊−「産む」と決められない
河合蘭著 NHK出版 2006年 ¥700+税
少子化がどんどん進んでいるけれど、「子供は要らない」と決めている人はごく一部。ほとんどの人は「いつかは欲しい」と思っているのになかなか産むタイミングが見つけられないのです。仕事に夢中で、キャリアチェンジも多い20代から30代の初め。そして高齢出産の4文字が気になり出したら、30代はあっという間に過ぎていきます。
女性にとって仕事に打ち込むことが当たり前になった時代に、私たちは一体どうやって子供を持つ決心ができるのでしょうか?決められない未妊女性たちを中心に、やっと出産した人、不妊治療をした人など働く女性26名に取材しました。
世界的に見てもセックスレスが多い日本独特な夫婦のあり方、不妊治療のカレンダーセックスなど、性の問題にも踏み込みました。実母との関係や均等法とバブルの時代が残した影響など、制度的な少子化対策では届かない未妊女性の心に迫ります。
「産む」をやってきたからこそ見える「産まない」の側面―身体的、心理的、性的な理由―を書きたいと思いました。
◆書評・関連記事
・朝日新聞 (4月30日付)書評
・読売新聞(5月14日付)書評
・東京新聞/中日新聞 (5月7日付)書評
・共同通信
・時事通信
・日刊ゲンダイ(5月25日付 週刊読書日記/遙洋子さん)
・ペリネイタルケア 6月号書評
・aromatopia (6月25日発行)書評
・しんぶん赤旗(6月3日付 元気の素)
・朝日新聞 (6月9日付 オピニオン 三者三論)
・婦人公論 7月号書評
・クロワッサン(6月25日号 あなたへのメッセージ)
・オレンジページムック 元気が出るからだの本 2006夏号 著者インタビュー
・女性セブン(6月8日号)書評
・週刊新潮 (6月22日号)書評
アマゾンから買えます。
なんとかなるって! 働く女性の妊娠コミック−−妊婦の「ぷ」
宮下真沙美著作 コラム・河合蘭 監修・三宅はつえ
漫画家でREBORNスタッフの宮下が「Judy」(小学館)に連載していたお産漫画「妊婦の「ぷ」」に彼女自身の出産・育児体験漫画、私が書いた情報コラムなどがプラスされた単行本仕立てです。
主人公は雑誌の編集者で夫はアウトドアライター。2人の生活と仕事をエンジョイしていた矢先に突然に妊娠して、戸惑いながらもだんだんどっかりと落ち着いた妊婦となっていって助産院出産します。NHK朝の連続ドラマなどで出産指導に大活躍している、やはりREBORNの三宅が助産師の知恵を提供し、リアルな妊娠ドラマになりました。
アマゾンで買えます
WHO勧告に見る望ましい周産期ケアとその根拠
マースデン・ワーグナー著 井上裕美・河合蘭監訳 メディカ出版 ¥3800+税
著者ワグナー氏は小児科医でカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)教授やWHO母子保健局長を務めた周産期疫学者で日本にもたびたび来日し、三砂ちづるさんと共同研究もしています。
「WHO勧告」とはワグナー氏が陣頭に立って1985年に作られたもので、出産の医療行為やケアの見直しを行ったものです。この本は勧告が作られた経過を書いたものです。フリースタイル出産や母子同室をすすめ、切開や投薬は使われすぎているとしたこの勧告は、欧米で大きな議論を呼びました。
私は、REBORNをやっていたためにこのような勧告があることを聞き及び、内容に驚いて、当時の厚生省に問い合わせましたが誰もこれについて知っている人はいませんし、関心を持ってくれる方もいないのです。そこで直接コペンハーゲンのWHOヨーロッパ地域事務局というこの勧告の中心になったところへ電話をして「勧告の全文と反響が分かる資料を送ってください」と頼みました。その返事が、WHOの分厚い公式文書と、この本の原著です。送ってきたのは、なんとワグナー氏本人でした。
ワグナーさんとはその後二回ほどお会いしましたが、彼ほど外国人に聞き取りやすい英語を話す人は初めてでした。旅が人生、という感じで、世界50カ国を渡り歩き母子保健の啓蒙活動をしてきた人だということが、そこからはっきりとわかりました。
アマゾンで買えます
お産選びマニュアル――いま、赤ちゃんを産むなら
河合 蘭著 農文協 2000年 ¥1600(税込み)
自分の3回目の出産に心から満足したあと、「私はもうこれで産まないから、これから産む人に私が知ってきたお産選びのことを全部書いておこう」と思いました。自分の大満足の理由は知るべきこと、知るべき人を十分に知っているという安心と自信のために違いなかったからです。
3人産みながらお産ライターをしてきた集大成のような本です。病院、個人産院、助産院、自宅のさまざまな出産スタイルができるだけ公正にわかるようにしました。産み方の多様化、情報の洪水の中で、よく妊娠した人は目をグルグル回しているようなので、この本でスキッとしていただければと思います。
医療者はインサイダーですし、一般女性は自分の出産のことはよくわかっても普遍的なところはわかりにくかったり裏が見えにくかったりします。私は両者の中間に在るので、その特殊な立場がこの本では思い切り生かせたと思います。
久しぶりにカメラを持ち、写真もたくさん撮りました。
アマゾンで買えます
<ビデオ>もっと自由な出産を――フリースタイル出産の介助
杉山富士子・中根直子監修 河合蘭構成 三輪書店 VHSカラー18分 ¥8400 (税込み)
分娩台を使わないで自由に楽な姿勢でいられる出産は実は固定されるよりも安全で、赤ちゃん間心音が落ちにくく、産道の方向と引力の方向が一致して生まれやすい方法です。クレオパトラの出産図を見てもすわって産んでいて、世界中に寝て産む出産文化はありません。
が、産科学は分娩台に寝かせるのが基本。それ以外のことは学校で教わらないので、フリースタイルは医療者にとってなじみがなくて不安だと思われていました。手術の如く産婦がじっとしている分娩台のお産とフリーな出産では、赤ちゃんを取り上げる側にとって全く勝手が違うのです。分娩台では赤ちゃんの肩を片方ずつ引き出すようにしてその手技も決まりごとができているのに、フリースタイルでは両方揃って自然に出てしまうとか。
当時すでに、勇気を出してこの方法に熟練していった先駆者の助産師さん・杉山富士子さん(東京・ファン助産院院長)の技と本当にナチュラルに出産している女性を私が撮りました。初めて大きなビデオカメラを構え、当時生後3ヵ月だった子どもをそばに転がしておきつつ、6つのお産を録り内2つを収めています。
もうひとりの監修者・中根直子さんはファン助産院に一時期「助産院留学」をしていた日赤医療センターの助産師さん。彼女のような助産師さんのおかげで、病院でも少しずつフリースタイルで産めるようになってきました。
このビデオを購入する人も、作った当時は助産院の人ばかりでしたが、今や病院の購入がほとんどです。
REBORNで買えます
出産革命のヒロインたち―アメリカのお産が変わったとき
マーゴット・エドワーズ、メアリー・ウォルドルフ著 河合蘭訳 メディカ出版 1997年 ¥2800+税
この本を訳した理由は、自分に大きな影響があったアメリカの自然出産情報が、いつ、どんな背景で、どんな人達によって紡がれてきたのかをどうしても知りたかったからです。
この本から学んだものは、はかりしれません。歴史ものは商売にならないのがお産界の常なのですが(ハウツーものがともかく売れます)、私はこういうことがおもしろくて仕方がありません。
20世紀は、生産性を追求して地球を汚してしまった時代でした。この世紀を象徴する超大国・アメリカでは、出産も、意識のなくなる痲酔でこんこんと眠る女性から自動車工場のように赤ちゃんをとりあげていました。母乳は分娩台で投薬して止め、粉ミルクで育てました。そんな時代と場所で、「これはおかしいのではないか」という疑問が始まったのがアメリカの自然出産だつたのです。
日本でも最近よくいわれているキリスト教文明の問題も、自然出産ととても関係が深いのです。『菊と日本刀』著者ルース・ベネディクトの流れを汲むマーガレット・ミードのような人類学者も関わっています。
立役者たちへインタビュー、新聞、雑誌、専門誌などからの興味深い引用などで構成されたノンフィクション。「ご先祖様〜!」と登場人物たちにいちいち抱きつきたくなるような世界が広がっていましたが、残念ながら絶版。
アマゾンで買えます
改版・お産のイメジェリー―心の出産準備
カール・ジョーンズ著
河合蘭訳 清水ルイーズ監訳 メディカ出版 1997 ¥2940(税込み)
イメジェリーとは原書にはGuided Imageryとあり「誘導されたイメージ」のこと。つまりイメージトレーニングです。著者カール・ジョーンズは非常に珍しい男性バースエデュケーターで、この本の原著"Mind Over Labor"はじめ父親の本など数々のヒット本を書きました。
男性なのに奇妙なくらいに妊産婦の心理が分かる人で、この本でも妊娠中、出産中、産後の独特な精神状態を巧みに描いています。イメジェリーを使ってリラックスしたり、自信を強めたり、胎児とコミュニケーションする方法を提供しているのですが、それだけではなく、妊産婦の「妊娠脳」ともいうべき状態についてよく理解できます。
出産本は多いけれど心にスポットライトを当てたものはなかなかないので貴重な本でした。過去形なのは、もう刷らないことになってしまったのです。古書やオークションで手に入れたという話をしょっちゅう聞いていてちょっと申し訳ない気分。
この秋には、私の著書として新しいイメジェリー本を出す予定なので、今しばらくお待ち下さい。
アマゾンで買えます